先月世界各地の天文台などからLINEAR彗星(C/1999S4)の分裂・消失についての発表がありましたが、遅ればせながら今月1日に撮影した画像を紹介します。千葉県我孫子市の岸野 正栄さんの協力で私もいっしょに撮影したもので、22.3cm反射望遠鏡と冷却CCDによる画像です。岸野さんのお宅は市街地でたいへん光害のはげしい場所なため、西の空に低い彗星はかなり散乱光の影響を受けていますが、はっきりその姿を見ることができます。
この画像にはGSCによる比較星の光度を書き込んであります。ぼやけてしまった彗星全体のイメージは、この時点で11〜12等くらいまで暗くなってしまっているようですね。
一昨日、ハッブル宇宙望遠鏡の画像の公開サイトであるSpace Telescope Science Instituteから、8月5日に撮影されたこの彗星の画像が公開されました。画像はこちらからご覧いただけます。この画像には、同時期に撮影されたハワイ大学の2.2m望遠鏡で地球上からのものと、ハッブル宇宙望遠鏡からの画像が入っています。ハッブルのWFPC2(最も広い視野が撮影できる)では、分裂した彗星の残骸が最も大きな固まりの後方に散らばりながら尾を引いている様子を見ることができます。
彗星の進行方向の「後方」なので、尾を引いている方向とは反対の太陽側に散らばっていることに注目してください。ついつい、尾を引いている方向が後ろだと思いがちですが、彗星の尾は太陽の反対方向に延びますから、尾とは反対側が「後方」になるんですよね。
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